【読書ログ】『虚夢』薬丸岳


薬丸岳さんの作品は少年法の話しばかりかと思ってたら、『虚夢』は「心神喪失」がテーマでした。
テーマは重いですがスピード感があって、冒頭の殺戮シーンは文字だけで、ここまで読者をハラハラさせるのは薬丸さんの文章テクニックやなと感心。



あらすじ
通り魔事件で、小さな娘の命が奪われた。しかし、犯人は「心神喪失」で罪に問われることはなかった。幸せだった三上孝一と佐和子は、娘の死をキッカケに離婚。それから4年、三上は元妻から「あの男」を街で見たと告げられる。娘を殺めた「あの男」、藤崎裕之。

感想

私の評価→★★★★☆

ただ重いだけのお話しかと思ったら、そうじゃなかった!
この通り魔の犯人を追う元夫婦のお話しと、キャバクラで働くゆきと藤崎の話が交差していくので、退屈しない。



最後の最後にドンデン返しがあって、やられた…。騙された。
お話しの展開や伏線をうまく構成していて、読者を引き込んでいきます。


”似たような無差別殺人を起こしているにもかかわらず、責任能力があったとして死刑になる人間と、心神喪失や心神耗弱を認められて不起訴や無罪となったり減刑される人間に分けられる。この差はいったいどこにあるのだろうか。罰を与えられる精神状態と、罰を与えられないとする精神状態の境目とはいったいどこにあるのだろう。”

刑法39条では「心神喪失」の場合は、罪に問われない。難しい問題で、頭痛がした。

今回のお話しは、”精神の病”に関する内容で、初めて聞いた名前もありました。精神を病んでいる人が見ている世界を見ることができないから、私たちは怖がったり、理解できなかったりします。



でも「精神を病んでいる=殺人を犯す」と考えるのは浅はか
あきらかにラリってる人や危ない人は別にして、障害がある人や精神的に不安定な人を「変な目」で見たり、自分たちと違うものと思って見たりするのはどうなんやろうか。
そういう偏見や「関わりたくない!」と思う気持ちが、心に何かを抱えてる人からしたら、生き辛く感じるのかも。

だからといって、殺人が許されるのは納得がいかない話やし、とても難しい!頭がぐるぐるしてくる。簡単に議論できる問題ではないね…。

とても興味深くて、頭を悩ませながら読み終えました!
読んだことない方は、ぜひ読んでみて下さい。

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