「言葉をサボったらアカン」が刺さった日。京都・漢字ミュージアム

2025/07/04

旅行記

今年2月、京都の漢字ミュージアムに行ってきた。

感想は、漢字の海に溺れて最高!

体験しながら遊べる、楽しいミュージアムだった。レビューと言葉について考えたこと。

※写真と熱量多めなので、目次から興味のあるところへ飛んでください。

漢字大好き!


私は昔から漢字が大好きで、漢検は受けないのに参考書を買って解いている。

「漢字だらけのミュージアムなんて、楽しいに決まってる」と即決。ただ、八坂神社の近くだし、混んでたらしんどいかも…と少し心配だった。

でも2月の平日で、思いがけずゆっくり静かに楽しめたのが嬉しかった。

基本情報

開館時間

9:30~17:00
(最終入館は16:30)

休館日

月曜日

所要時間

サーッと見て回るなら2時間かからないと思う。再入館可能。私と旦那さんは、ゆっくり見て回ったから12時〜16時まで滞在。

料金

大人:800円
大学生・高校生:500円
中学生・小学生:300円
未就学児と障害のある方:無料

※当日は入館チケット提示で再入館可能

年齢層の印象

お年寄り、学生、外国人の団体さんが多かった。

ウェブサイト

館内レポ:楽しく漢字に浸る

館内は2階建てで、展示は「見て、触れて楽しむ」ことができる。

1階:漢字の歴史を学ぶ

壁一面に漢字の成り立ちや歴史

コインで削ると占いの結果が…


壁一面に漢字の起源、日本でどのように広まり、私たちの生活に根付いてきたかが紹介されている。

体験シートを使った「甲骨文字占い」や、「万葉仮名」で自分の名前をスタンプするコーナーも。学ぶだけでなく、手を動かす楽しさもある。

2階:遊びながら漢字に触れる


漢字クイズやかるた、検定問題に挑戦できるコーナー。

四字熟語で遊べるゲームなど、参加型の展示が中心だ。

漢検問題、準1級は難しくて2級に変えた

そのほか、方言に関する展示や、期間限定の特別展示もある。また、約5,000冊の辞書や歴史書、漢字にまつわる本が並ぶ図書エリアもあり、じっくり腰を据えて漢字と向き合うこともできる。

立派な図書エリア

印象に残った展示や体験

文字の歴史に思いを馳せた

私は平安時代の文学や論語が好き。1階の壁一面に展示された漢字の歴史では、木簡に書かれた『論語』の写真があった。

日本は中国から取り入れた文字にアレンジを加えた。

そして、

漢字を「はぶく」ことからカタカナが生まれた。
漢字を「くずす」ことからひらがなが生まれた。

手書きの『枕草子』は初めて見た。でも全く、読めない。日本語といえど、1,000年以上経てば外国語のようだ。

夢中になった体験コーナー

体験シートの甲骨文字占いや万葉仮名スタンプから、遊び心がたっぷりのエリアまで、どれも楽しかった。


漢字5万字の柱では、自分の名前を探してみたり、ゲームや漢検問題に挑戦したり。魚の漢字クイズは難しかったけれど、旦那さんはあっさり正解していて悔しかった。

名物の湯呑みフォトスポットでは、私たちの背が高すぎて画面からはみ出してしまった。それもいい思い出。

色と言葉の世界で立ち止まる





期間限定展示の『漢字で感じる色めぐり』も好きだった。

色と漢字も関係がある。日常で使う慣用句の由来を紹介。日本の色の名前や色彩の勉強もしたいな。

心に響いた「贈りたい漢字」たち

「あなたに贈りたい漢字コンテスト」の受賞作を飾ってあるエリアが良かった。

漢字一文字から、ものや人への想いが詰まった作文が読める。手書きからいろんな人の思いが伝わってきて泣きそうになった。

漢字一文字に込める意味は、人によって違うんだな。

その他


年末恒例の「今年の漢字」の実物も展示されている。

出口には、漢字ミュージアムや漢検、京都の観光パンフレットがずらり。旅の記念に、いろいろ持ち帰ってきた。

感想:文字は、プレゼントだ

ひらがなとカタカナを最初に生み出した人の発想に驚く。なくなった文字、形を変えた言葉もあると思う。でも、1,000年以上たった今も使い続けていることのありがたみを感じた。

特に私のように、話すより書く方が気持ちを表現しやすい人間にとって、文字はなくてはならないもの。もし文字がなければ、私はもっと引っ込み思案になっていたかも。

展示を見ていて、「言葉は人が育ててきたもの」だと改めて思った。

辞典は10世紀にはすでに存在していた。言葉を生み出したからには、それを伝えるための道しるべが必要だったのだろう。

やがて、文字は偉い人のものだけでなく、武士や庶民に広まり、寺子屋の登場で読み書きが身近なものになっていく。

新聞や雑誌が出版されるようになり、明治には誰もが文字を学べる仕組みが整えられた。

昭和の終わりには「書く」から「打つ」へと移り変わり、今では誰でもいつでも言葉を発信できる時代になった。

だけどその分、言葉が雑に使われ、思考が浅くなることも増えている。そんなとき、思い出すのが旦那さんの口ぐせだ。

「言葉をサボったらアカンよ」

たった一言だけど、その意味が深く染み込んできた。何千年もかけて、多くの人が言葉を磨き、紡ぎ、つないできた。それはただのツールではなく、誰かの思いを届けるための、大切な手段。

言葉は、プレゼントだ。

ちゃんと選んで、包んで、渡す相手のことを考えて届ける。ひどい言葉や文句も、そのまま投げつけずに、ひと手間かけて毒抜きをすれば、届くかたちになる。

ナマのままでは伝わらないことも、言葉を選ぶことで変わる。

漢字ミュージアムを歩きながら、そんな当たり前のことに、しみじみと気づかされた。

ちょっと期待はずれ

漢字の栞、マグネット、箸置きは気になった。
最後にギフトショップへ。正直、ここは少し期待はずれだった。

もっと漢字ミュージアム限定グッズがあるかと思ったけれど、意外と少ない。私が勝手に期待しすぎていたのかもしれない。

結局、限定ファイルだけを購入。


カフェが穴場スポット?


併設のカフェにも立ち寄った。ここは行く前から楽しみにしていた場所。

店内は広く、窓も大きくて開放感たっぷり。しかも空いている。

私は抹茶ケーキ、旦那さんはコーヒー。ケーキは驚くほど小さかったけれど、味はとても良かった。正直、もっと食べたかった。


ちなみに、カフェはミュージアムに入らなくても利用OK。

季節によるかもしれないけれど、観光の合間に静かに休める穴場スポット。おいしいものをちょっとだけ味わいたいときにもおすすめ。

まとめ

祇園祭の鉾(ほこ)レプリカも飾られている。高さは約7メートル。
私も旦那さんも「行ってよかった」と話した。漢字好きはもちろん、苦手な人でも意外と楽しめるかもしれない。ちょっとだけ漢字を身近に感じられる、そんな体験になると思う。

さいごに一言。

言葉をサボったらアカン。


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