知らない方が幸せなこともある。
折原一さんの『ポストカプセル』を読んでそう思った。
物語は、15年前に書かれた誰かからの手紙が自分の元に届くというものだ。
脅迫文、プロポーズ、受賞通知など。手紙を受け取った側は、今更どうすることもできない内容ばかりだ。
とはいえ、気になってしまうのが人間。それぞれが過去を掘り返して事件へと発展していく。
まさに、不幸の手紙だった。
私は過去からの、しかも今は交流がない人の手紙は受け取りたくないと思った。
もし、父から手紙が届いたら…と思うだけで恐ろしい。
私は両親とは疎遠だ。私たちの関係は良くないので、自然と連絡先も居場所も分からなくなった。
数年前、兄からSNSを通じて連絡があった。父がまた警察にお世話になったと教えられたのだ。
ただの又聞きなのに、その日1日気持ちが沈んだ。父に対する悲しさ、呆れ、やるせなさ、苛立ちなどの複雑な思いがあった。
今の私は幸せに暮らしているのに、その連絡ひとつで、しんどい過去を思い出した。
もし、そんな人から手紙が来たらどうだろうか。
今が幸せなら、その幸せが少し揺らいでしまうかもしれない。不幸な状況なら、さらに苦しくなるかもしれない。
知ったところで何も変えられず、心がしんどくなるなら、あえて知らないままでも良いと思った。
自分の心の平穏を守るのが大事。
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