京都 北大路駅で、ただいま

2026/02/18

エッセイ

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一時帰国の時、京都の地下鉄・北大路駅を利用する。

切符をなくして駅員さんに助けてもらい、駅直結イオンのミスドとサイゼには、旦那さん家族とよく行く。

すっかり、馴染みが深くなった。

この駅が私にとって特別になったのは、ある冬の夜のこと。

私は、友達と遊んで帰りが遅くなった。

北大路駅に向かう電車に揺られながら、帰り道のことを考えた。駅を出ると街灯が少なく、人通りもほとんどない。

旦那さんと彼のお父さんのグループLINEを開く。

「迎えに来てほしい」と連絡をした。

私は昔から、「迎えに来て」と言うのが苦手だ。怒られると思ってしまうのだ。

子供の頃、放課後に迎えの電話をしたら、親に「今忙しい!いつ行けるかわからん。」と怒鳴られた。

暗くなる校庭で一人座っていると、風の音さえ大きく感じて心細かったのを覚えている。やっと迎えが来ても、親は謝るどころか「お前のせいで予定が狂った」と舌打ちする始末。

手元のスマホがブブッと震えた。旦那さんからLINE。

「俺とおとんも今から居酒屋出る。迎えに行くわな。」

旦那さんはいつも、私より先に着いて待っていてくれる。それでも反射的に、「ちゃんと来てくれるかな」と不安になる。

北大路駅に電車が到着。扉が開いて、一緒に何人かが降りる。

遠くの改札に目をやる。旦那さんとお父さんの姿を見つけた。

2人は改札の方をキョロキョロしていた。

「待ってくれてる人がいるんだ」と嬉しくなった。

私は前を歩く人の影に隠れてしまい、歩幅を緩める。2人の姿をもう少し見ていたかったのだ。

でも前の人は、あっという間に改札を出た。

旦那さんと私は視線が合い、彼は軽く手を挙げる。お父さんも私を見つけて微笑んだ。お酒を飲んだのか、頬がピンク色になっていた。改札を出て、2人のもとへ走った。

「おかえり」

2人のその声を聞いて、私は「ただいま」と返した。

「おかえり」って、相手を大切に思う言葉。あなたが無事に帰ってきてよかった。そういう風に聞こえる。

北大路駅に馴染みが出て、ふと思う。

駅はただ電車が通過するだけでなく、人の思い出がたまっていく場所でもあるのかな、と。

かつて感じた寂しい記憶さえ、この駅では温かい思い出に上書きされる。

子供の頃の私に声をかけたい。

「もう安心していいよ」

鼻の奥がツンとしたのは、寒さのせいじゃなかったのかも。

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