この本を読んで思ったのは、家庭で家事や育児を担う人たちの大変さは、見えにくいけど本当にすごい。
子供がいない専業主婦の私も、少し負い目から解放された気がする。
簡単なあらすじ
彼女の周りにはワンオペ育児のワーママ、子供がなかなかできない医者の妻、育休を取ったパパ友がいる。
誰にも頼れない彼らに、詩穂は優しく寄り添いながら、自分自身や家庭の在り方についても気づいていく。
作品の特徴
主人公の詩穂目線からお話が始まり、彼女の周りの人の目線からも物語が進む。
いろんな立場の人の考え、立場と気持ちが描かれるため、感情移入しやすい。
個人的メモ
- kindle unlimitedで読んだ
- 2時間ほどで読了
- 読後は雨上がりのように爽やか
分断ではなく支え合い
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画像:unsplash |
育児や家事をめぐる立場の違い。働くママ、専業主婦、育休パパ。誰もがそれぞれに悩み、誰にも頼れずに追い詰められている。だからこそ、分断ではなく支え合いが必要だと気づかされる。
詩穂のおっとりした優しさに周囲が救われ、彼女自身もまた人に助けられている。
そして、物語の中で印象的なのが、紫陽花の存在だ。
「あなたもいつか紫陽花を探してみてね」
という詩穂のお母さんの言葉が、心に残った。花を見る、探すのは心の余裕がないとできない。
切羽詰まったときこそ、ゆっくり立ち止まったり、きれいなものを見たり、希望を探してね。そう語りかけられているように感じた。
物語の始まりから終わりまで、紫陽花はずっとそばに咲いている。登場人物たちの心の変化や、少しずつ芽生える思いやりと重なるように。
自分の仕事に誇りを持つ
私は子供のいない専業主婦だ。旦那さんに感謝してもらっても、「働いていない」ことを負い目に感じてしまう。
この本を読んで、主婦の仕事に一番誇りを持てていないのは私自身だと思った。
でも家事やサポートは、小さなことでも達成感につながる。アイロンがけやキッチン掃除、疲れた旦那さんへのコーヒーやマッサージ。そうした積み重ねにやりがいを感じている。
役割は違っても、私たちは対等に生活を支え合っているのだと思う。だからこそ、この物語を読んで強く思った。
主婦・主夫だって、働くママや育休パパだって、みんなすごい。
それぞれが大変なことを抱えている。その努力や存在を否定してはいけない。
自分の選んだ役割に負い目を感じるのではなく、誇りを持っていい。社会も家庭も、みんなで回している。
だから、「対岸の家事」は決して無関係じゃない。そこには助けを求める人がいて、私ができることを少しずつしていけばいいと思った。
心に残った言葉
「いつか笑って話せるから。あなたの寂しかった日々が、誰かの役に立つ日が来るから」
「ゆっくりやれば大丈夫。いつかできるようになる」
「自分のことで精一杯になってる人って勝手」
さいご
私も詩穂のように、ひとつのことしかできない。何かをできるようになるまで、時間がかかる。
でも、自分でなりたくてなった主婦。私は大事な人を支える重要な仕事をしているのだ。
旦那さんからの「ありがとう」を、これからはもっと胸を張って受け取ろうと思う。
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