『虹いろ図書館のかいじゅうたち』感想:誰の心にもいる“かいじゅう”を手懐ける

2025/08/30

読書

児童書だけど、大人の私にも響くものがあった。本を読みながら、「心の中の黒い感情」とどう向き合うかを考えた。私が感じたことを書き留めておきたい。

簡単なあらすじ

心を凍らせたかおりと、いじめを受けた少年ケンが虹いろ図書館を訪れる。図書館で働くイヌガミさんやその周りの人たちに接して、2人は自分の心を見つめ直す。

個人的メモ

  • 児童書向けなので、難しい言葉もなくて読みやすい
  • 子供の頃に読んだ絵本のタイトルも出てきて、懐かしい気持ちになる
  • いわた書店の選書

誰の心にもいる「かいじゅう」

画像:AIのGeminiで作成
タイトルにある「かいじゅう」とは何だろうと思いながら読み進めた。つらい出来事を思い出した時に、心の奥からむくむくと湧き出す黒い感情のことだった。

ケンはそれを「肉じゃが」と呼び、かおりは「かいじゅう」と呼ぶ。大人も子どもも、誰の心の中にもそれは棲んでいる。

かおりたちの呼び方をマネるなら、私の中にいるのは「虫」だ。強い嫉妬を感じたときに、モゾモゾと動き出す。

嫉妬に支配されたときの気持ちと、虫を見たときの嫌悪感はよく似ている。

見たくないし、いなくなってほしい。でも虫が完全に消えれば人間も生きられないように、黒い感情も生きていく上で消し去れない存在だ。

最近、その虫は暴れなくなってきた。旦那さんや周囲の人の優しさに触れることで、少しずつ手懐けられるようになってきたように思う。虫が騒ぐ前に人に話したり、文章にしたりして、コントロールする。

特に印象に残ったのは、作中で語られる次の言葉だ。

「自分の気持ちをすっきりさせるためじゃなく、相手の子に謝るためだけに、謝るんだよ」

私は親からひどいことをされたし、友達に心ない言葉を投げたこともある。傷つけた人たちに謝りたいと思ったこともあるけれど、自己満足なのでは、と考える。

もし親に謝られたとしても、私はモヤモヤすると思う。謝るより、関わらないでいてほしい。せっかく心の中の「虫」が静まっているのに、また引きずり出されたくないからだ。

謝ることが大事な時もあるけれど、誰もがそれを望むわけではない。謝る側のすっきり感と、受け取る側の気持ちは別物だ。この物語を通して、「謝る」とは何かを考えている。

心に残った言葉

「呪いはほとんど、自分で自分にかけちゃうものなんだな。だから、呪いを解くには自分ががんばるしかないんだ。」 
「自分でがんばることは大事だけど、近くの人がどうにかしてくれることもある。」

さいご

子ども向けのやさしい言葉で書かれていながら、大人の心にもずしんと響く。

「かいじゅう」を消そうとするのではなく、どう飼いならしていくか。その過程に、人との関わりや愛情が欠かせないことを教えてくれる一冊だった。

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