いわた書店の選書、最後の1冊を読み切った!でも今回の作風が私には合わず、読むのがつらい作品だった。
※個人的に感じた「合わなかった点」について書いています。
作家さんやファンを否定する意図はありません。批判的な内容を読みたくない方は、このままそっとページを閉じていただければと思います。
作風が合わなかった理由
断定的な語り口調
英国での長い生活経験の豊富さゆえか、たまに断定的な語り口をする印象がある。それがどことなく、私には上から目線に感じてしまった。
内容に共感できない
特に心に引っかかるのは、他人の不幸を笑いのネタにしているように見える箇所だ。
周囲の人々の出来事をユーモアたっぷりに描く点は上手だけど、私はその軽さが気になった。もちろん、そうやって重い話も読みやすくするのだと思う。
だけど国の事情や問題など、実際はもっと大変な状況があるはずなのに、私にはそれが軽々しく見えた。
本の帯にある「人っていいなとしみじみ思う。愛と勇気があふれてくる」とはかけ離れていて、私は共感できなかった。
長年の友人を描く場面では、作家さんは「友人の面倒事には関わりたくないけど、面白いネタは欲しい」という印象を受けた。
私は、家族ぐるみで付き合う友人を家族同然に思っているので、友人が苦しんでいるならできる範囲で助けたいと思う。なので、その人たちの不幸を本にすることはできない。
文章には感心する
文章自体は技巧的で、伏線の回収や独特な比喩表現には感心する。
例えば、中国人の家にティーンがいたずらに来る場面で、作家さんの周りの屈強なおじさんたちが勝手にパトロールをし始める。
その中のひとりのおじさんが中国人の女の子に恋をする。しかし最終的に家が空き家になり、おじさんの恋も終わる。作家さんは「ゴー・バック・ユア・カントリー」という言葉を排外主義の典型句として描きつつ、そのおじさんの言葉には思いやりの響きがあることを示した。
「笑顔が濡れたビール瓶から剥げかかったラベルのようによれていた」といった比喩も印象的で、文章力の高さを感じた。
嫉妬も正直に
私がこうした感情を抱くのは、作家さんへの嫉妬もあると思う。
作家さんは長く英国に住み、子育てをし、保育士としての経験もあり、英語も話せて、周囲の人たちに囲まれ、作家として成功していることへの羨望もあると思う。
私はカナダに10年近く住んでいるけれど、引っ込み思案な性格のため友達もできにくい。英語もたどたどしく、キャリアや学歴もない。
そのことでネガティブになっているわけではない。ただ、正直に書き残しておきたかった。
読書体験として
本作からは、英国の文化や人々の描写から学ぶことはあった。
でもそれ以上に作風が自分には合わなくて、読むのがつらく感じる作品だった。普段なら数時間で読み終えるところを、1週間かけて読み終えた。
個人的には、この作家さんのエッセイよりも物語の方が読めるかもしれない。
さいご
普段なら自分では手に取らない本と出会えたから、いわた書店さんに選書をしてもらってよかった。
他にも読み進めるのが難しい作品もあったけれど、それも含めて面白い読書体験だった。
いわた書店さんのサイトリンク
1万円選書はあなたの好みや悩みに合わせて、店主さんがあなたのために本を選んでくれます。募集は決められた期間のみ。最新情報は、ウェブサイトとSNSからチェックできます。私は選書をして良かったので、おすすめです。
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