先日、健康診断の結果を聞きに病院へ行った。
少し不安な気持ちで受け付けに向かうと、そこにいたお姉さんは無愛想で、雰囲気がちょっと怖かった。愛想が良ければ安心できるけれど、無愛想だと帰りたくなる。
ふと、そのお姉さんの真っ赤なフレンチネイルに目が留まった。
カナダの受け付けにいる人は、服装もメイクもネイルも自由みたいだ。
ジーンズ姿の人もいれば、ワンピース姿の人もいる。肌の色に合わせてアイシャドウをほんのりのせた人や、鮮やかなリップをつけた人もいて、それぞれの個性が感じられる。
フレンチネイルのお姉さんは、長い爪でキーボードを淡々と打っていた。その表情は、感情をオフにしたロボットのようだった。
「かわいいネイルですね」
私がふと声をかけると、彼女は顔を上げた。今、初めて目が合った気がする。
「Thank you」
彼女が笑った。ぱっと花が咲いたように明るく、まわりの空気まで変えたように感じた。同性でもドキッとした。
人の顔を見る余裕がない人が、笑顔になる瞬間。私は、それを見るのが好き。自分の言葉で、誰かを幸せにできたように思うからだ。
日本でも、もっと褒め合うことが浸透したらいいのにと思う。
私が出会った人の中には、あら捜しが得意な人が多かった。なぜ、その鋭い観察力を、人の良いところ探しに活かせないのだろうか?
私は日本でも、いろんな人の良いところを探して伝える。
褒められた人は謙遜したり、疑ったりする人もいるけれど、時折、素の笑顔を見せることがある。それは、作り笑いより何倍もキレイだ。
人を褒めると、私自身の心も明るくなる。
そんなことを考えながら、帰り道を歩いた。健康診断の結果も良かったし、素敵な笑顔も見られて晴れやかな1日となった。
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