物欲は抑えられるのに、お菓子では泣く

2025/09/22

エッセイ

ほしいものはいろいろあるけど、結局どれも買う決め手に欠ける。 

今欲しいものは、部屋着のズボン。コスメ。のれん。 

お店に見に行ったけど、値段が高い。自分と旦那さんしか見ない部屋着に、30ドルも出したくない。

のれん用の素材もいいものがない。そこではたと気がつく。部屋着とのれんなら余りのシーツで作れんじゃないの?

コスメも失敗したくないから、もう少し調べるのが良さそう。 

迷いすぎてどれも欲しいけど、どれも欲しくない。みたいな考えに至るのだ。「ほしいもの」を買うのも意外と難しいんだな。 

私がここまで悩むのは、主婦だから。ありがたいことに、旦那さんがお小遣いをくれる。でもそのお金は、彼が頑張って働いて得たもの。だからこそ、むやみに散財はしたくない。 

そう思いながら、晩ごはんに必要な食材を買いにスーパーへ。 

食材を選びながら、ふと目についたアイスクリームのショーケース。アイスクリームの箱は、秒でカゴに入れた。さっきの吟味はどこへ。

もちろん、アイスクリームひとつでも悩むときはある。でもそれは買うか買わないかではない。どの味にするかで吟味するのだ。

私はお菓子が大好きで、毎日少量食べるのが1日の贅沢だ。家にストックがないと、私にとってはトイレットペーパーが切れたときくらいの一大事だ。

それで、「私の原動力は、食欲だった」と思い出した。  

ある日、旦那さんとスーパーへ。私のお気に入りのお菓子が、ことごとく売り切れ!代替えを探してあれこれ悩む私。

ところがその日は旦那さん、家で急ぎの仕事があって、なるべく早く帰らなきゃいけない日だった。 「早くして!」と急かす旦那さん、あれこれ迷って焦る私。

「もういい!いらない!」と言ってスーパーをあとにした。 

帰り道では大人なのに、目が潤み始めてうっすら泣く。スーパーの袋は全部旦那さんに持たせて、彼のあとをトボトボついていく。

「もう無理…お菓子ないと頑張れない」

帰宅してから、旦那さんは優しく事情を聞いてくれた。彼には、なぜお菓子を買わないだけでそんな不機嫌になるのか理解できなかったみたい。

「だって、お菓子欲しかったんやもん!」 

こらえきれず大きな声で言った。そして「お菓子食べたかったぁぁ」と大泣き。旦那さんは爆笑。 

ちなみに彼はコーヒー命。そこで私は真剣に説得した。「私にとってのお菓子は、あなたにとってのコーヒー。だからないとダメ!」 

その後は、なるべく買ってくれるようになった。泣いた甲斐があった…のか?

ものは、なくても今すぐは困らない。でもお菓子は私の潤い。家にいるのが好きな私でも、お菓子のためなら外に出る。

物欲より食欲!

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